2021年04月13日
要注意!~老朽化したアパートを売却するとき~
老朽化したアパートを売却したいというご相談がありました。
★ご相談の内容★
母は父から相続したアパートの管理を自分でやってきましたが、築後40年近く経過し雨漏りやボイラーの故障などにうんざりしていたため、売却を考えていました。その矢先、母が亡くなり、アパートは相続人である私たち姉妹に残されてしまいました。私たちにとっても、老朽化したアパートは負担になるだけですから早く売却したいのですが、このままで売れるものでしょうか?ちなみに入居は1世帯のみで、その方たちも近々退去の予定です。
1.アパートの駐車場問題
パートは同じ敷地に2棟建っていますが、敷地は100坪ちょっと。
2棟合わせて10世帯あるのですが駐車場が圧倒的に足りません。
雪国でしかも地下鉄や路面電車がなくバスの運行本数も少ない青森市において、特にアパート需要が多い世代では1人1台のマイカー使用は珍しいことではありません。脱炭素時代の流れにはまったくついていけていませんが、なにより車がないと通勤や買い物のほか、子どもを病院に連れて行くことさえままならないので、背に腹は替えられないというのが青森の現実です。そこで、アパート建築には1世帯に2台分とれる広い駐車場を確保することが必要条件となります。そうでなければ近隣に駐車場を借りることになるため、その分家賃を安くしないと入居が決まりにくいということになってしまうのです。
40年前に建築された時は今ほどの車社会ではなかったため、そこまで駐車場が必要だとは思わなかったのかもしれませんが、アパートの収支計画において間取りと駐車場については、どの世代をターゲットにするのかということとセットで考えていくことがとても大事です。
2.空室が多いと売りにくい!
もう一つ残念だったことがあります。
お母様が近々アパートを売却するつもりで、退去者が出ても積極的に募集をしないで自然に任せていたため、いざ相続が発生して売却することになった時にはほぼ全空の状態だったのです。
多少、築年が古く修繕費が嵩むような物件でも入居者がいて家賃が入っていれば、収益物件として買い手がつく可能性が高いのですが、全空ということになると、修繕して入居者を決めるまでの期間、収入がないためその分のコストはすべて持ち出しになります。
また全空だと金融機関の融資も下りにくいということもあり、投資価値は著しく下がってしまうのです。空き家になれば、建物の傷みも早くなるため修繕費も余計にかかることになってしまいます。
どうせ手放すのだからと空きがでるのを自然に任せて、全部あいたら解体して売却しようということだったようですが、結果的に解体費用分を差し引いて相当な安値で売却せざる得なくなりました。収益物件として売却できれば、もう少し高値で売れたのではないかと非常に残念でした。
ここに注意!! ワンポイント
■アパート経営は間取りと駐車場をセットで考えよう!
■老朽化したアパートの売却は空き室が多くなる前に相談しましょう!