不動産鑑定評価とは
りんごの価格はいくら?
りんごの価格は、青果市場などのマーケットで、需要と供給の法則によって決まります。 たとえば、「ふじ」だったら○○円、「王林」だったら○○円というふうにおおよその相場がありますよね。
私たちは、その相場を基準にして、今日は特売日だから安いとか、スーパーマーケットで買うより市場で買った方が安いというような判断をして、日々買い物をしています。土地の価格は?
土地の価格は?
A市では人口が増えて宅地不足になり、地価がどんどん上昇していったとします。 一方、B市では宅地が供給過剰で地価が下がっているとします。でも、B市からA市に土地を運んで、需給のバランスをとることはできませんよね。
土地はみんなちがう!
りんごであれば、同一品種で同一規格の物が、同時に一定数量マーケットに供給されますが、土地の場合は、類似する物はあっても同じ物はありません。 同じ分譲地内の住宅地であっても、角地なのか中間画地なのか、北向きなのか南向きなのか、どの位置にあるのか等の要因によって、個別性が現れてきます。
土地はみんなちがう!
りんごは食べればなくなります。でも、りんごの木があれば、次の年にまた実をつけてくれますよね。 でも、土地は、農地や山林を宅地にしたり、海浜地を埋め立てたりして、宅地を増やすことはできますが、土地そのものを増やすことはできません。逆に土地を何十年使用したとしても数量が減ったり、なくなってしまうことはありません。 また、同じ土地でも、住宅・店舗・事務所の敷地にしたり、駐車場として利用するなど、様々な用途に利用でき、また分割したり併合したりと、柔軟に姿を変えることができます。
不動産の鑑定評価とは?
このように、りんごなどの一般的な財とちがって、オープンマーケットの機能が働きにくいという特性をもつ不動産の適正な価格を判定するのが、不動産の鑑定評価です。 そして、不完全なマーケットを補完し、マーケットに成り代わって、価格決定を行うのが不動産鑑定士であるということになります。
具体的に言うと、今、Xさんの土地をYさんが買おうとしているとします。 当然、買い主のYさんは、できるだけ安く買いたいと思うでしょうし、一方、売り主のXさんはできるだけ高く売りたいと思っています。ここで交渉になるわけですが、大きい買い物でもあるし、双方譲らなければ、なかなか話はまとまりません。 そこで、何ら利害関係のない中立な立場で、価格を判定する不動産鑑定の必要性が生じてくるのです。
不動産鑑定評価のプロセス
では、実際に不動産鑑定評価をするプロセスを、簡単にご紹介します。
1.対象不動産の確定・確認 |
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登記事項証明書・公図・地積測量図などを用いて、対象不動産を確定し、現地調査を行って、現況と照合しながら確認します。 |
2.資料の収集及び整理 |
案件に応じて必要となる資料を収集し、整理します(事例資料など)。 |
3.価格形成要因の分析 |
社会経済情勢や全般的な地価の動き、対象不動産が属する地域の特性や市場の動向、対象不動産の形状や道路の状態など、対象不動産の価格に影響を及ぼす要因を分析します。 |
4.鑑定評価方式の適用 |
案件に応じて、原価法・取引事例比較法・収益還元法などの手法を適用して、価格アプローチを行います。 |
5.鑑定評価額の決定 |
鑑定評価方式を適用して求められた価格(試算価格といいます)を調整して、最終的な経済価値を判定し、鑑定評価額として決定します。 |
- 不動産:土地及びその定着物
- 不動産の鑑定評価:不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示すること(不動産鑑定評価基準より)
- 不動産鑑定士:「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、国家試験、実務経験を経て、国土交通省に登録された不動産の価格及び適正な利用についての専門家のこと